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令和3年4月の涌泉寺だより

お布施百万円

 先日、真夜中の二時、久しぶりに携帯電話、例の「電話です」の呼び出し声で目覚めました。

 真夜中の女性相談者が、久しぶりに電話をよこしたのかな。と思い「モシモシ」。

「お父さん(ご主人)がさっき亡くなりました」あ、違った!檀信徒のご婦人の声だ。

「ご遺体は今どこに居てる?今から枕経に行くから家か?式場か?直ぐにでも枕経に行かせてもらうけど何時ごろ行けばいい?」「三十分もすれば式場に着くらしい」

 式場の住所・名前・電話番号を聞いて電話を置いてすぐスケジュール表の手帳を見る。

 今日は朝一軒と昼から一件の二軒だけだ。湯灌は午後からだろうから、昼の方を午前中に行かせてもらうようにしなければ…。

 いつも業者からの依頼を頂いてのお葬式なのですが、今回は久しぶりの、涌泉寺の檀信徒のお葬儀です。

 久しぶりに、ねんごろな心のこもった、日本拡しと雖も涌泉寺しかしていない、本当のお葬式ができるのです。

 ですから、表題に書きました通り、涌泉寺が行うお葬式はお布施百万円のお葬式なのです。

 今まで百万円をお包みになられた方々はたくさんおられます、皆さん心から喜んでいただいています。

しかし出来ないお方もたくさんおられます、その方々には『お布施だから、あなたの心のこもった金額で良い。安いからと言ってお葬儀に手を抜くということはしません、みんな同じことをさせて頂きます。但し、涌泉寺でお葬式をしてもらったら、いくらでもいいと言ってくれた。安上がりで助かった!とは思わないでほしい。』ときつく言わせてもらっています。 

 脈が止まり、呼吸が止まり、全ての肉体機能が止まっているから死んだと思っておられますが、人間はなかなか死ねないということを一番に覚えてほしいのです。

 まず、霊魂が肉体から完全に離れ、亡くなられた方が、なんだかおかしな現象を体験している中で、僧侶からハッキリと『お前は今死んだから、目の前の、お前の生身の体に二度と戻れないのだ!』と言われて、初めて亡くなられたお方が、自分は矢張り死んだのだ、と分かり諦めがつくのです。だから枕経が重要なのです。

物事は何でも初めが肝心です。

始めにはっきりと言わないと、後々迄狂ってきます。

お葬式と言うのは、お釈迦さまがお亡くなりになった時、お弟子方が、お釈迦さまを仏の世界に還って頂くの

涌泉寺だより R・三・④ 発行者 涌泉寺 院首 山口法博
にみんなで考えお送りさせていただいた次第を、後の我々もお釈迦さま並みにお送りさせていただいている、ということです。まず、何はともあれ、亡くなってすぐ枕経を唱え、亡くなったことを認識させ、楽になるように末期の水を差し上げるのです。

死に装束を受け取って、お曼荼羅やお経の一節を全てに墨書し、湯灌の後、墨書の経帷子を着せて納棺。

その間一心にお経とお題目を唱え、体中をお題目とお経だらけにします。棺桶を如渡得船と言う大きな船にして、それに乗ってもらうように、お棺や蓋にもお経等を墨書します。経帷子一式に墨書をするのは、如渡得船がお葬式以後、親族方のお経不足などで沈没しても、三途の川はお題目の六文銭・針の山は金の草鞋・遠く険しい山登りも脚絆や足袋で楽登山・異臭の大河も頭陀袋でマスク・道に迷ったときは諸法実相の杖に頼ります。墨書は如渡得船の沈没時の重要な保険です。

お通夜には、両親にありがとうの気持ちで『父母恩重経』を皆で唱えて、今までありがとうの気持ちを伝える。

通夜説法には、我々はどこから何のために地球上に現れ死して何処に逝く・お釈迦さまの言いたかったこと・お経の意味などその場にあったお話をします。

お葬儀は決まった時間に、決まったことをしなければなりません。しかし、引導文をゆっくりはっきりと読み上げ、涌泉寺でないとお釈迦さまの処へは逝けない!とはっきり言い聞かせます。

お葬儀が終わって素早く着替えて、故人に花を手向け、棺を野辺送りのように先導して霊柩車に案内します。

斎場に着いたら炉前経で、火滅度後の舎利を後程必ず収集に来るから、それ迄に、お釈迦さまが船長、日蓮上人さまが舵取り、櫓をたくさんの菩薩方に漕いでもらい、法華経の帆にお題目の風を頂き、しずしずと空を霊山浄土まで行く、如渡得船の特等船室に、ゆったり乗っかるように、最期に言い聞かせます。

その後、葬儀会館に戻り、焼骨収集迄の時間を、お菜を頂いたりするのですが、僧侶と別々になさる方が多いです。二時間ほど後、初七日法要で葬儀式は完了します。

多額のお布施をお渡しして、僧侶を死後告知の夜中から初七日供養終了の間まで、借り切りです。

僧侶を遊ばせるのはもったいないことです。お菜を共に頂いて、その間、一時間以上あります。日頃思っている、宗教不信・お寺不信・お経不信・お墓不信・政情不安等々、日頃思っていることを僧侶にぶちまける格好の時です。僧侶に対して、質問攻めにしてください。

ここまでなされば、百万円は安いと思いますが…。

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