1. HOME
  2. 涌泉寺だより・月案内
  3. 涌泉寺だより
  4. 令和4年7月の涌泉寺だより

令和4年7月の涌泉寺だより

家族葬

 当山ではお葬儀のご依頼をよくいただきます。

 お葬儀と言われるものはそんなに華やかな物ではありませんが、最近ではお葬儀の規模がコンパクトになって、貧弱と言うか、本来の儀式とはかけ離れ、寂しいと言うか、うすら寒いように感じます。

 葬儀社さんも、自社で営業して自分のお客様として、お葬儀を成されるところが少なくなり、ほとんどが、お葬式を斡旋する業者からの依頼のお葬式が多いように思われます。

 お葬式斡旋業社(お葬式紹介業)からのお葬式ですから、お葬式紹介料を差し引いた少ない料金でお葬式をするので、思ったようにできず、お葬式屋さんも大変だろうなと思います。

 お葬式の紹介業者さんも、いかに安くお葬式をするかに拍車がかかり、まずお葬式の参列者を少なくして、お香典を頂くと、お返しや何やかやと経費や気苦労が大変と言うことで、お香典を受け取らないで気兼ねなく送り、参列者もほんの身内だけにする。果ては、遠くに住んでいる家族にさえ連絡をせずに、遺された家族だけでお葬式を済ませ、ほとぼりが冷めた時点でぼちぼち叱られるのを承知で連絡する。

 法要も、枕経・湯灌・納棺・お通夜・お葬儀(告別式)・炉前経・収骨・初七日忌法要・四十九日忌法要・数種類の戒名、とパーツごとに値段表をつけて、捨拾選択させる。ついには、ご家族みんなが心からお送りすればよいとして、枕経からお通夜迄を省略して、お葬儀だけにして、それも式の最中に初七日忌を組み込み、最近では、さらには四十九日忌までも葬儀中に済ませるという蛮行が行われるようになってきました。

 さらに、今から亡くなろうとする人が、自分の死後、誰も呼ばずにひっそりと送るように、と言って亡くなる人が多くなってきました。死んでいく人間が死後のことなど気にしないで、後の者に任せてさっさと死ね!と言いたい。そのような人に限って、あの世に逝った途端、迷って助けを求めるのですから、処置無しです。

 世の葬式・宗教評論家と言われる人が、こういう事態を良しとするコメントを出されるのが、どのように考えても理解できません。

 ですから、今頃では、お葬式だけではなく、結婚式までも細やかになって、親戚が一堂に会することが無くなり、ほとんどの若者に自分の祖先・ルーツを知らない人がどれだけ多くなってきたことか。先日もテレビでその

 

涌泉寺だより R・四・⑦ 発行者 涌泉寺 院首 山口法博
ような特集をしていましたが、若者にはご先祖・ルーツには関心が無いように感じました。

近い将来には、日本人と言うのは、世界がグローバル化して、今までのように一定の処に留まらず、日本国内はもとより諸外国に流出し、日本の人口の減少とともに、外国人の流入が多くなって、日本国内が国際化されると思います。

 私はことある毎にいろんなお話をさせて頂いています。今回の件もよく考えてみてください。

 今、生きている我々は、もともとお釈迦さまのところで菩薩になるお行をさせて頂いていました。

 無事にやっと菩薩になれたので、今度は一人前の菩薩になるための修行として、人間界に生まれて人間修行をするために、ある夫婦(両親)の下に望んで生まれてきました。なので、子供は親を選びますが親は子供を選べません。

ですから両親にはアリガトウしか言えないのです。

 親も子供に、親として選んでくれてアリガトウです。

 この世に生まれるに当たってあの世ではたくさんの仏さまや菩薩さま方々が人間に生まれたら人間修行をシッカリするようにと拍手喝采で送り出して下さいます。

 送って下さった菩薩さま方は、人間界で苦しいときには手を差し伸べてお助けをして下さいます。

 人間界に生まれるにあたって、両親をはじめ多くの親戚知人が大喜びで迎えて下さいました。

 せっかくこの世に生を受けたと思ったら、この世に生まれたもの全て、同じ目的に向かって進むのです。

 すなわち【死】です。

 しかし死にあたっても、生まれてきた時ように、親戚知人がこぞって「あの世でしっかりと菩薩の修行をしなさいよ!」と拍手をしてお送りしなければなりません。

 そして向こうに行ったら行ったで、この世に残った者は、亡き人に対して、「しっかり菩薩の修行をしなさいよ」と、亡き人を励まさなければなりません。これが亡くなった方々への追善回向供養と言われるものです。

 ここで、人間と言うのは難儀な生き物で、死んでいるにもかかわらず、なかなか死ぬことが出来ずに途中(これを中有と言います)でウロウロして、完全に死ぬことが出来ずに苦しいものだから、生きている人間に頼ります。自分の身内に頼るのが筋なのに、頼ると頼られた人も苦しくなるので、身内には頼らず、他人に頼ります。

 世の中いろんな事件や事故が起きる、ほとんどの原因はこれです。涌泉寺ではお葬儀での浮遊霊には、特別お釈迦さまへ送るため、お寺に留まるように諭しています。

たくさんの仏さま方の

お見送りで生まれて来ました。

還るときもたくさんの人に

送っていただきましょう。 涌泉寺

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。