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令和2年12月の住職便り

住職たより  二〇二〇年十二月号

 皆様、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか? 早いものでもう十二月です。今年もわずかですが、コロナ禍などに気を付けて、体調には充分気を付けてくださいませ。

今月は皆さんの知っている「北風と太陽」のお話です。

 旅人の上着を脱がすために北風と太陽が勝負をします。北風がいくらピューっと風を送っても旅人は上着を必至で押さえてなかなか脱がすことができません。今度は太陽が暖かくすると、旅人は暑くて上着を脱いでしまいました。こうして太陽が勝つっていうお話です。実は物語はそこで終わっていなくて、もう一回、勝負をしています。今度は「旅人の帽子を脱がす」という勝負です。今度は太陽が先行です。辺り一面を暖かくしますが、旅人は帽子を取りません。帽子を取ると余計に暑くなることを知っている旅人は帽子を取りません。今度は北風の番です。勢いよく突風を吹きかけます。その瞬間、旅人の帽子は飛んで行ってしまいました。というわけで、今度は北風の勝利です。 

この物語の本質はコートを脱がすには太陽が優れていて、帽子を取る事には北風が優れているという、「人には個性があり、それぞれに強みがある」という事です。そして、その人・その人が持つ個性を認めて、大事にしていきましょうという事です。

さて、これは法華経の五番目のお経の薬草喩品に出てくる「三草二木」という話と似ています。色々な大きさの木々や草一面に雨(お釈迦さまからの平等の功徳)が降ると、雨のうるおいを受けて成長していきますが、その成長速度や大きさはそれぞれです。受け取り手の能力で色々と草木が変化するという事です。この教えの本質は「それぞれの個性に応じてお釈迦さまから平等の功徳が頂けるので、個々に応じた才能、特性を活かして共生していきましょう」という事です。

今回は二つのお話を紹介しましたが、二つに共通して言えるのは「個性」の捉え方です。我々は頭でわかってはいてもどうしても「個性」というのを大事にしきれていない部分があるのではないでしょうか?私もそういうことがあるので、日々勉強していかないといけない、と思っています。日々、個々に同じだけ功徳が頂ける、お経を唱えながら精進していかないといけません。

早いもので、今年もあと少しになりました。終わりよければすべてよしです。

素敵な年末をお過ごしくださいませ。では今月もよろしくお願いいたします。

  令和二年 十一月二十八日

涌泉寺 住職   山口 法光

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