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住職だより R7.9 「分岐点」

住職たより 令和七年八月号 「分岐点」  

みなさんこんにちは。
最近、人生の困難や苦難にあってそれを乗り越えた人の話を聞きました。
今日はそのお話をしたいと思います。

毎日の暮らしの中で、「なんで自分だけが……」
と思うようなこと、ありますよね。
仕事がうまくいかなかったり、人間関係で悩んだり、
健康の不安に押しつぶされそうになったり。
その時はただ必死で、前を向く余裕なんてないものです。
そうしていく中で物事が解決し、
物事が好転していくことも往々にしてあります。
そして時間が経って振り返ると「あの経験があったから今の自分がある」
と気づく瞬間があります。あの時はつらかったけれど、
今思えばあれが自分を変えてくれたんだなと思うこともあります。

そういえば日蓮聖人のご生涯も、まさにその連続でした。
松葉ヶ谷での草庵襲撃、伊豆や佐渡への流罪、そして竜ノ口法難と、
命の危険さえあった数々の出来事に直面されながらも、
聖人は信じた道を決して曲げませんでした。特に佐渡での流罪は、
雪深く厳しい寒さと孤独の中で過ごす過酷な時間でしたが、
そこで著された『開目抄』には「賢人は災難に遇うて志をたくましうす」
と記されています。苦難を恐れず、むしろ志を深め、
さらに強くなられたその姿は、
今を生きる私たちへの大きな励ましです。

たとえば、学校でテストが思うようにできなくて落ち込んでいたけど、
「次はもう少し頑張ってみよう」と気持ちを切り替えたとき。
すると少しずつ勉強のコツがわかって、次のテストで点数が上がった。
そんな経験、ありませんか?また職場で人間関係に悩んでいたけれど、
「今日は笑顔であいさつしてみよう」と小さな一歩を踏み出したら、
少しずつ周りの雰囲気が柔らかくなった、なんてこともあります。
日常には、そうした小さな「きっかけ」がたくさんあります。
その時はただ必死だったり、気づかないまま通り過ぎてしまうこともあります。
そしてつらいことや思い通りにならないこともたくさんあります。

でもそれは決して無駄ではありません。あとで振り返れば、
「あの出来事があったから今の自分がいる」と気づく日が必ず訪れます。
そう、今のこの瞬間こそが、あなたの人生の分岐点なのです。

お寺は、そうした皆さんの祈りを見守り、寄り添う場所です。
どんな日も、心を落ち着けてお題目を唱えることで、少しずつ未来が開けていきます。
これからも一歩ずつ歩んでまいりましょう。

何かあれば、必ずお寺にお電話などで、まずお話しをしてください。
檀信徒の為に、涌泉寺のご祈祷本尊の大威徳明王さまが、居られるのです。
迷いを正すために法華経と言うお経の羅針盤が有り、
迷いの疲れをとるために疲労回復剤のお題目(南無妙法蓮華経)が有り、それを声高に唱えるのです。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。

令和七年八月二十八日   涌泉寺 住職  山口 法光

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