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住職だより R8.3 「レコード」

みなさんこんにちは。
いかがお過ごしでしょうか。

日経新聞の記事にレコードに関する記事が出ていました。
最近、レコードがまた静かに注目を集めているそうです。
音楽はスマートフォンで簡単に聴ける時代ですが、
あえてレコードプレーヤーで聴く人が増えている、という話です。
もちろん昔の全盛期ほどではありません。
それでも、国内のアナログレコードはこの数年、
前年を上回って増えており、ソニーのレコードプレーヤーも
2019年に比べて売上が約2倍になっているとのことでした。

なぜ今、そんな動きが起きるのでしょうか。
記事を読み感じたことは、
「手間をかける価値」が見直されている、という点です。
私たちは日々効率よく、早く、無駄なく、と求められることが多いものです。
待つ時間や遠回りは、できるだけ減らすべきものとして扱われがちです。
ところがレコードは真逆です。自分で盤を取り出し、
針を落とし、片面が終わるまでじっくり聴く。
途中で簡単に曲を飛ばすこともせず、音楽の流れを丸ごと味わう。
そうした「手間そのもの」が、楽しさになっているのです。

さらにレコードは、生産枚数が限られています。
推しているアーティストの新作も、
欲しいと思ったときに必ず手に入るとは限りません。
だからこそ「いま、この一枚」と出会った喜びが大きいのでしょう。
便利さだけでは満たされない心が、そこに動いているようにも見えます。

この話は、私たちの暮らしにも通じるところが
あるのではないでしょうか。
私たちは、つい「無駄」と決めつけてしまうことがあります。
手間がかかるから、遠回りだから、時間がかかるから等、
どうしても考えてしまいます。しかしそこにこそ味わいがあり、
心が整うこともあります。手を合わせる時間、
ゆっくりとお経を聞く時間、季節の変化に気づく余白。
すぐに結果が出るものではありませんし、
全部が全部というわけにもいきませんが、あとから振り返ると、
確かに自分を支えてくれている。
そんな「無駄に見えるもの」の中に、価値が宿ることがあります。

忙しい毎日の中だからこそ、あえて少し手間をかけてみる。
あえて立ち止まってみる。そんな小さな選択が、心を豊かにし、
日々を穏やかにしてくれるのかもしれません。
皆さまの暮らしの中にも、「これは無駄だ」と
切り捨ててしまいそうなものがありましたら、
ぜひ一度、見つめ直してみてはいかがでしょうか。
そこに、思いがけない宝物があるかもしれません。

寒暖差のある時期です。どうぞご自愛のうえ、健やかにお過ごしください。
今月もよろしくお願いいたします。

令和8年2月27日        涌泉寺 住職  山口 法光

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