住職だより R7.12 「社員の本音」
みなさんこんにちは。
先日、日経新聞に「30代社員の本音」がまとめられていました。
古い体質が残る働き方、理解のすれ違う上司と若手、増えない給料、
仕事と家庭の板挟み――多くの人が職場で孤独を抱えている現状が紹介されていました。
その背景には、互いの思いが伝わらず、状況も共有されず、
十分な情報が行き交っていないという共通の問題があると指摘されていました。
この姿は、職場に限らず、家庭や地域でも見受けられます。
親と子、夫婦、友人どうしでも、必要なことが伝わらず、気持ちが見えないと、
誤解や不満が生じてしまうものです。人は、わからないまま進むと不安になり、
知らないまま関わるとすれ違いが生まれます。
その意味で、「情報不足」は人を悩ませる大きな原因となります。
では、こうしたすれ違いを減らすために、
どのような心の姿勢が求められるのでしょうか。
ひとつは、相手の背景にそっと目を向けることです。
すべてを理解しなくても、「何に悩み、何を求めているのだろう」
と思いを寄せるだけで、関係はやわらいでいきます。
小さな関心は、相手にとって大きな安心となります。
次に、自分の気持ちや考えを、
落ち着いた言葉で伝えることです。
黙ったままでいると、不満が心にたまります。
「こう考えています」「こう感じています」
と静かに伝えるだけでも、
行き違いは少しずつほどけていきます。
そして何より、自ら動く姿勢です。
誰かが気づくまで待つのではなく、自ら問いかけ、
思いを示す人がいると、周囲は自然と変わり始めます。
感謝を言葉にする、困っていそうな人に声をかける、
ひとつの提案をしてみる。
その小さな行いが、環境を整え、心をつないでいきます。
日経新聞の記事は、働く人の悩みを通じて、
現代のすれ違いや孤立を映し出していました。
だからこそ今、家庭でも地域でも、互いの言葉を大切にし、
人とのつながりを温めていくことが
求められているのだと思います。
さていよいよ12月です。2025年もクライマックスを迎えます。
素敵な年末年始をお過ごしくださいませ。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。
令和七年十一月二十八日 涌泉寺 住職 山口 法光
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